私たちがクイーンズランド縦断の船旅をしたのは夫が自分で作った船です。全長15m弱でカップル用のメインの寝室、船の両側にシングル用のトイレとベッドがそれぞれ一つずつあるので計4名で旅をする事ができます。料理をするためのガスコンロ3つ口、洗い物をするシンク、小さな冷蔵庫があるのですが、シャワールームはありません。船の後方にジョウロでシャワーを浴びるスペースがありそこで体を洗います。都会でずっと暮らしていて、いきなりオーストラリアについてから船の旅をしたので不便だと感じることが沢山ありました。シャワーはあるものと思い込んでいたので質問すら日本にる時にしませんでした。
一番私にとってチャレンジだったのは真水をふんだんに使った洗濯ができない事です。2度ほどバケツに海水を入れ、洗剤でシーツやタオルを洗います。すすぎも海水で最終的なすすぎのみ真水で行います。船には大量の水道水を積んでいるのですが、風頼みで進むため天候に左右されます。もしも雨が降らなかった場合何も気にせずにタンクにある水を使っていたら補充ができません。雨が降れば必ずバケツをデッキに出して夜中であろうが水を溜めます。嵐になると存分に真水でシャワーを浴びる事ができるので(雨が滝のように激しいため)嬉しく感じました。話は戻りますが、いくら最後の濯ぎを真水で行っても完全に塩水は取れておらずその後デッキに干すのですが何しろしぶきをあげて水上を船で進んでいるため、海水を浴びてしまいます。よって乾いた清潔なシーツなのですがキシキシした肌触りです。これは初めての経験で私はとても苦手でした。
船の両側に操縦席があります。彼は私がもっと操縦に興味を示したり、帆をたたむとかアンカーをおろしたりあげたりと何かと手助けをしてくれるはずと思ったみたいですがほぼお手伝いをする事なく、一人で大変だったと思います。私は私でインターネットはないし、エアコンはないし、コンビニに行けるわけでもないし陸に着くことをひたすら待ち侘びるといったなんともせっかくの経験をありがたくも思わず失礼極まりない状態でした。3ヶ月弱二人きりの旅をしました。
船の天井は↑全面がソーラーパネルになっており、ここで得た太陽光パネルから電力を得ています。電池もあるので貯めておく事ができます。
数週間前にネットのニュースでシングルハンド(一人で船を操縦士全くの一人で旅をすること)で世界一周をしている日本人女性がいるという記事を見つけて驚きました。パプアニューギニアに滞在中ということでしたがなんと逞しいんだろうと崇敬の念を抱いたほどです。食事もできずトイレも瓶か何かで用を足し、海に流し(多分)ひたすら停泊する場所まで船を操縦するのです。彼女は操縦中はココナッツウォーターを飲んでいるということでした。船を停泊しても岸に行くまでは大きな船に積んでいたモーターのついたフィッシング用ボートのようなものを水に降ろして行くのですがそれもかなり力が入ります。彼女はなんとカヌーで岸まで行くとのことでした。水に濡れるの前提ですが一人分の水の補給や食糧調達くらいなら荷物を積めます。とても良いアイデアだと思いました。一人で大海原を制覇できるならこの先世界がどんな状態になろうとも逞しくサバイバルして生きていけるはずです。彼女の記事を読んだ時、自分の不満だらけだった航海を思い出して恥ずかしくなりました。
船の中の写真を撮ってあると思っていたのですが見つけることができなかったのでまた船に行った際に撮ってこようと思います。